銭湯ペンキ絵の魅力とは?


(※こちらの記事は、私が別サイトで書いたのをブログ用に再編集した記事です。)

 

 

東京都国立市に残る最後の銭湯、鳩の湯。
現在こちらの銭湯では存続に向けてクラウドファンディングが行われています。

 

faavo.jp

1年少し前に西二丁目の松の湯が廃業され、銭湯がたった一軒になってしまったことは以前このブログにも書きました。

そこで国立市の銭湯文化を絶やさないようにと、国立本店ほんとまち編集部や市内の方々が協力して鳩の湯の営業を支援するプロジェクトが発足しました。

まずは現在最高齢銭湯絵師で国立市民でもある丸山清人さんにご協力いただき、鳩の湯のペンキ絵リニューアルとライブペインティングイベントを開催することになりました。
ぜひ上記サイトにてご支援いただければと思います。

ペンキ絵の歴史と背景

 ペンキ絵について少しお話しさせてもらいます。

ペンキ絵といえば銭湯のシンボル。
浴室に入って真っ先に目に入る雄大な景色はなんとも壮観です。

 

ペンキ絵は通常1年~数年に1回、絵師さんによって塗り替えられます。
その塗り替え方はなんともワイルドで、元の絵の上にそのまま新しい絵を描くのです!
このダイナミックな職人業がどんなものか、当日ぜひ鳩の湯に観に来て下さい。
圧巻ですよ(^^)

ペンキ絵はもともと広告代理店のサービス(つまり実質無料!)で描かれていたものなので、
下の絵を残して保存するという発想はありませんでした。
風呂の湯気が直接当たるペンキ絵は時間がたつと自然と劣化し、剥がれていきます。

 

今は銭湯絵師をかかえる広告代理店がなくなってしまったので、
銭湯の経営者は絵師さんと直接交渉して絵を描き替えてもらいます。
1年ほどで劣化してしまう上に、銭湯広告のサービスだった頃と形態が変わったペンキ絵はどんどん廃れていき、耐久性のあるタイル絵などに置き変わりつつあります。

タイル絵も情緒があっていいものです。
しかし、生々しい刷毛さばきが肉眼にせまるペンキ絵の迫力は他には替えがたく、
ぜひとも後世に残しておきたい日本文化です。

行くたびに変わるペンキ絵の魅力

 現在の鳩の湯に描かれている「西伊豆」のペンキ絵は2013年の作。約3年前のものです。

すでにペンキの剥がれが目立っています。

上に書きましたように、ペンキ絵は、上に直接塗りつぶしていく手法を昔からとっています。
完成した絵の上に保護剤などをほどこすことによって耐久性を強くすることなども考えられますが、
いまは従来の方式にのっとっていきたいと思います。

鳩の湯のペンキ絵は数十年もの間、丸山清人絵師に描き続けてもらっています。
丸山さんは現在80歳。最高齢銭湯絵師でありながら、まだまだ現役です。

これはあくまで私見ですが、
常に湯気にさらされ、塗りつぶされ、新しい絵に更新され続けるのがペンキ絵の本来の魅力なのかもしれません。
たった数年で塗りつぶされてしまうのはどうにももったいない気がしてしまいますが、
もともと広告のサービスで描かれていた大衆芸術であるというルーツを踏まえると、
ペンキ絵作品そのものを保存していくことだけでなく
新しく塗り替えられ続けるペンキ絵を、風呂につかりながら喜んでくれる常連のお客さんたちが増えることこそが、ペンキ絵文化保存と銭湯文化保存の肝だと考えています。

銭湯絵師・丸山さんの活きたハケさばきが、これからの鳩の湯の活性化のシンボルになることを
少しずつ発信していきたいと思います。


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