ショビ書房のホリディ

マンガ・仏像彫り日記・℃-ute・ハロプロなどについて書いています。

鬼平と仏像。

去年から彫り続けていた十一面観音がほぼ完成しました。別の材で彫った11面目の顔を頭頂に差し込めば出来上がりです。

 

そこで、次なる仏さんを彫るために、立川まんがぱーくへ資料調べに行ってきました。

 

 

仏と鬼平犯科帳

まんがぱーくでの目当てはさいとうたかをの「鬼平犯科帳」。

次に彫ろうと思っているのは、ある大先輩に頼まれた仏像です。
先輩からの要望は小ぶりであることと、見ていると優しい気持ちになるものであること。この二つだけです。
あとはおまかせということだったので、刀の滑るまま・あるがままで彫ってしまってもいいのだけど・・・・
先輩が去年入院していた時に読んでいたのがさいとうたかをの「鬼平犯科帳」だったそうなので
先輩が仏(のようなもの)を求めていたであろう時期に読んでいたものを私も見て心に取り入れてから彫りかかりたいと思いました。

 

「真実も幸せも己のうちに」

 先輩は、携帯で撮った下の画像を見せてくれました。
入院中に鬼平を読んでいて心に刺さった言葉だそうです。

f:id:chove-chovo:20160202232439j:image

「これ、何巻にあった話ですか?」
「覚えてないなあ。20巻あたりだったと思うけど」

私は「鬼平犯科帳」を読んだことがない。
なので、「こち亀」や「あさりちゃん」ならいざ知らず、このコマひとつで「むむむこの絵柄は何巻あたり時代のタッチで、女が泣いているということはあのあたりのエピソードで・・・・」というような勘所がまったく利かない。
手がかりは先輩の「20巻あたり」というおぼろげな記憶だけだ。

 

見えない景色が少しずつ明るくなっていく感覚

そもそもこの決め台詞を言っているのが「鬼平」なのかどうかすら判らないのだ。
とりあえずまんがぱーくで、20巻を中心に、19,21,18,22・・・・と少しずつ両手を伸ばすように読み広げていく。
じっくり読んでいたら一日じゃとても足りないので、内容はあえて飛ばしてひたすら探しているコマがないかどうかだけ調べていく。

そんな感じで5冊ほど目を通していくと面白いもので、お話しの中身は全然知らないままなのに、「鬼平」の輪郭だけが少しずつ形をとっていく。
たとえば、こんな感じに。

  • 鬼平は鬼平という名前じゃなくて長谷川平蔵という人であるらしい
  • 結構な割合で夜にほっかむりをした泥棒集団が現れ、騒動になる
  • 途中から両頬にえくぼ(ほくろ?)のある女性が鬼平のそばにいつもいる

などなど。

物語として、普通の読み方ではない。
「真実も幸せも己のうちに」のひとコマを軸にしてTRUEかFALSEかという判断基準だけで「鬼平」に取りかかると、普通に読むのとは違う景色が見えてきた。

「真実も幸せも己のうちに」のコマは昼だから、夜に巻き起こる大捕り物のシーンは一気に飛ばせる。
雨や霧のシーンも同様に飛ばせる。

泣いている女性も大きなポイントだ。
両えくぼの女性ではないようなので、「真実も幸せも己のうちに」の回の中でのみ出てくる女性なのだろう。だから、男性しか出てこなさそうな政治的な駆け引きの話なども飛ばせる。

まず女が泣いて鬼平の「真実も幸せも己のうちに」という言葉を聞いている所からして、この女性は自分に振りかかってくる嘘や不幸せと闘わなければいけない状況だったといえる。
その辛いエピソードを受けてからの「真実も幸せも己のうちに」であるから、話の最初の方は全部飛ばせる。
また、滝のように涙が流れているから、いきなりこのコマから泣き出したわけではないだろう。なので、女が主要人物として出ている話でも、女がほがらかにしているシーンが多めであれば、注意をしつつも飛ばす。
(急に泣き出す女もいるかもしれない。現実にもいる。)

と、そんな推察を頭の中でヒュンヒュン交錯させながら読んでいると、だんだんページをたぐる手が早くなってくる。
「鬼平」の世界観が輪郭の方から見えてくる。
話はひとつも読んでいないのに、鬼平のことを分かった気分になってくる。

量だけをただこなす。
たくさんの情報が一気に脳を駆け抜けていく中で、シナプスが増殖してニューロンに電気信号をビュンビュン送っているのを感じられる・・・・ような気がする。


そんな“鬼平ハイ”になりながらも、結局閉館時間が来てしまい、「真実も幸せも己のうちに」を見つけることができませんでした。

立川まんがぱーくにあった「鬼平」は、リイド社から出ているワイド版だった。

 

鬼平犯科帳 (1) (SPコミックス―時代劇シリーズ)

鬼平犯科帳 (1) (SPコミックス―時代劇シリーズ)

  • 作者: さいとうたかを,池波正太郎,久保田千太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: コミック
  • クリック: 2回
  • この商品を含むブログを見る
 

 

15~25巻を読んで見つからなかったということは、
ワイド版ではなく、文藝春秋から出ている通常版の「20巻あたり」なのかもしれない。

 

鬼平犯科帳 (1) (文春コミックス)

鬼平犯科帳 (1) (文春コミックス)

 

 


おそらくワイド版は1巻につき通常版の倍近いページが収録されているから
ワイド版で探す場合は10巻前後のあたりを探すのが正解だ。
次に調べる時はそっちのセンで攻めてみよう。

先輩の話を聞くに、入院していた病院の対応の悪さに今なお揉めているらしいが
今一番流通している「鬼平」はリイド社のワイド版なので、
もし病院に置かれていた「鬼平」が文藝春秋のオリジナル版であるなら、なかなか渋い病院な気もする。