ショビ書房のホリディ

マンガ・仏像彫り日記・℃-ute・ハロプロなどについて書いています。

「クヌルプ」という題名の謎。

9月の記事「セプテンバー・ブック」の余談です。

 

「セプテンバー・ブック」に私が持っていった本は「クヌルプ」。

小学生か中学生の時に読んだ本です。

 

クヌルプ (新潮文庫)

クヌルプ (新潮文庫)

 

 

推薦図書にあった「車輪の下」が面白かったので、ヘルマン・ヘッセの他の作品を探した所、一番薄くて読みやすそうだったのがこの「クヌルプ」。

クヌルプが薄い文庫本じゃなかったらたぶん出会っていなかったでしょう。

 

クヌルプという名前の謎

優しく、どこか寂しい漂泊の旅をつづける男、クヌルプの半生の物語。

セプテンバー・ブックで「クヌルプ」の紹介をしたら、人に言われました。

「にしてもクヌルプってどこの国の名前?
クヌルプって・・・・変じゃない?なんでこの名前にしたんだろうね?」

 

言われてみれば、初めてこの本を手に取った時の私も同じことを思いました。
作者のヘルマン・ヘッセはドイツ人なのでおそらくドイツが舞台で、クヌルプもドイツ人であるという設定なのでしょう。

そこで「クヌルプ」についてネットで調べていたら、いくつか興味深い記事が出てきました。

 

漂泊の人、−「クヌルプの生活からの三つの物語」ヘルマン・ヘッセ つぶやき館/ウェブリブログ

ヘルマン・ヘッセ 翻訳の謎 Braunschweig|leraのブログ

 

参考にさせて頂いたのは上記2つのブログ。
この2つの記事から分かったことは

  • 原題は「Drei Geschichtn aus dem Leben Knulps」。訳すと「クヌルプの生活からからの三つの物語」であること
  • 1933年春陽堂版では「プルヌク」という題だったこと(逆!?)

の2点。
さらにAmazonで検索をかけてみると

  • 1950年人文書院版は「漂泊の人」
  • 1952年岩波文庫版では「漂泊の魂」
  • 1957年角川文庫版では「望郷」

など数バージョンがあったことが分かります。

どのタイトルもお話しの内容に偽りなし!なのですが、どうも固いですね。

小学生か中学生の私がヘッセを求めて本屋に行き、目に付いた薄い本が「クヌルプ」ではなくもし「漂泊の魂」だったらどうだったのでしょう。
「なんか難しそう」と思って避けたのか、
それとも「なんかよくわかんないけどカッコいい!」と思って買ったのか。

どっちか分かりませんが、あの淋しいけど優しいお話しを「クヌルプ」として読むか「漂泊の魂」として読むかでだいぶ情操形成に違いが出てきそうな気はします。
あのきれいなお話しが「クヌルプ」というなんかちょっと間抜けな名前だったからこそ今の自分のバランスが保たれている、というような気もします。
ありがとう「クヌルプ」。

 

ごく一部の人たちにとっての「クヌルプ」

余談ですが、日本人のごく一部の人たちはこの「クヌルプ」という奇妙な名前からヘッセ以外に連想するものがもうひとつあります。
それは「かまいたちの夜」。
1990年代に流行ったゲームです。

舞台はとあるスキー場のペンション。
吹雪で外に出られない状況で殺人事件が起きてしまうというストーリーなのですが、
そのペンションのモデルとなっている実在の宿の名前が「クヌルプ」なのです。

Pension&Cottage Knulp


私も「かまいたちの夜」は大好きで何度もプレイしました。
「かまいたちの夜」は当時としては画期的だったサウンドノベルというシステムを用いたゲームで、リアリティを出すために背景は全てペンションの写真を使用しています。
その写真に使われたのがペンションクヌルプなので、ホームページの写真を見るだけで「かまいたち」ファンはゾクゾクものです。(感動というより恐怖が蘇って。)

おそらくペンション名はヘッセの「クヌルプ」が由来でしょう。
ヘッセの「クヌルプ」以外で、日本人に「く」と「ぬ」と「る」と、よりによって「ぷ」を組み合わせた単語をつくろうという発想があるとは思えません。

私が知っている中で「クヌルプ」に一番近く、でも「クヌルプ」とは全く縁もゆかりもない名前は「LET'S ぬぷぬぷっ」です。

Let’sぬぷぬぷっ 1 (少年マガジンコミックス)

Let’sぬぷぬぷっ 1 (少年マガジンコミックス)

 

 あとまあ、「ぬるぽ」もやや近いですね。

いずれにしても小説「クヌルプ」の爽やかさとは程遠い語句です。
ドイツ人にとって「クヌルプ」って名前はどれくらいのイメージなのでしょう。
今度ドイツ人と話す機会があったら聞いてみたいものです。