ショビ書房のホリディ

マンガ・仏像彫り日記・℃-ute・ハロプロなどについて書いています。

くにたち仏像彫り:木取りの爽快感は大掃除と似ている。

片手におさまるサイズの仏さんを頼まれたので、月曜の朝から彫りディです。

だいたい5センチ四方のものがいいという指示があり、家を見回したところちょうどいい木片がありました。
旧高田邸の解体跡で拾った、おそらく屋敷の土台にあたる部分の木材です。

 

松の香りとハンドボール

材は松。
私はまだ木について不勉強で、木材を見ても何の木だかわかりませんが、松の木だけはすぐわかります。

松の木は匂いがすごいのです。
鮮烈で癖のある、好ききらいのある独特の匂い。
私はハンドボールを中学高校とやっていたのですが
ハンドボールは松ヤニを指につけてプレイします。
なので松(ヤニ)のの匂いをかぐと、一所懸命校庭を駆け回っていた頃の気持ちがよみがえって、なんとなく元気になるのです。

自分にとって少し特別な木材、松です。

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角の所に赤い松ヤニが固まっていて、削るとなんともいえない香りが漂います。
松、ヒノキ、クスノキ。彫ると香りがたちのぼる材は、「こんなにまだ生きてる。新しい生命を与えておくれ」と語りかけられているようで、とても好きです。

 

木取りの爽快感は大掃除と似ている

彫る材が決まったら、まずは木取りです。
木取りとは、材から大まかな輪郭を切り出す作業のことを言います。

師匠からはいつも「木取りがうまくできれば一人前」と言われるほど大事な作業です。
なぜ大事かというと、木取り次第で仏様の出来上がりが大きく変わるからです。
顔と胴体の比率は合っているか?左右対称か?
まだ姿の見えぬ仏像のバランスをとってあげなければいけません。
それはまるで空に一本すーっとひかれた綱を、目をつぶって渡るような作業です。

・・・・でも私は無鉄砲なので、「失敗してもいいや!」という気持ちでいつも木取りを開始します。
どんなもの作りでも同じですが、最初が肝心であると同時に、作っていくうちにどうにでもなる、という気持ちが大事なように思います。
その道の達人たちが長年かけて築いてきた作法、のようなものに自分の動きをゆだねていれば、おのずとそれなり・道なりのものが出来上がるものです。
「うまく彫ろうと思うな」。これも師匠から頂いた大事な教えのひとつです。

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簡単な木取りをした後の写真です。
今回頼まれた仏像は幅をめいっぱい取る像である必要があったため、坐像にしました。
なんとなく胡坐をかいて座っているポーズに見えませんか?

木取りの好きなところは、ノコギリとナタを使うところです。
ノコギリ・ナタで大まかな木取りをして、ノミで形を作り、彫刻刀で細かく彫りあげる。これが彫仏の工程です。
つまり大きい刃物から小さい刃物に少しずつ持ち替えて彫っていくわけですが
最初はとにかくガッ!と大きく切り出すので、彫刻刀やノミを使っていたら何時間もかかってしまうような大きな木くずが出るのが爽快なのです。

切り取ってもいいセンまでノコギリで切り跡をつけて、上からナタで叩く。するとメキメキメキッと木が割れて、ノコギリの線のところで裂け目が止まる。その木片を手でメキッ!とはぎ取るのです。
それはまるで、大掃除で大きなゴミを捨てて部屋の見通しが一気に開けた瞬間に似ています。爽快!
木片をはぎ取った面からは清冽な松の香りがプチプチっとはじけ飛んでいます。
幸せ、と思う瞬間です。

お師匠さんも木取りの後やノミでいっぱい削った日は木くずが山のように床に積もっているのを眺めて「今日はたくさんがんばったなあ」と満足げに言います。
たぶん師匠も爽快に思っているのでしょう。

この仏さんは思ったより早くできそうです。